正常に潤滑するのは4年前後

機械には潤滑油が必要になります。潤滑油は、酸化や吸湿、微細な金属粉によって劣化が徐々に進行します。

いよいよ油分が無くなりますと、金属が削れて微細な金属粉が発生し、これら金属粉は空気の酸素成分に反応して赤茶けた粉、いわゆるサビに変化します。

こうなりますと部品は使用不能となり、部品代が加算となります。

潤滑油が正常に機能するのは4年前後です。オメガなどは油劣化と共に遅れたり持続時間が少なくなったりといった症状が比較的にすぐ出ますが、ロレックスは精度変化があまりなく、症状が出た時には部品交換が必要になる事があります。

一見問題無いと思われがちですが、4年も経つと油の劣化はかなり進行していますので、定期的にオーバーホールを行いましょう。

防水時計だから大丈夫？

全然大丈夫じゃありません。防水時計はちょっと濡れた位では浸水しません。しかしそれは新品で状態の良い時の話です。

防水パッキンが経年劣化したり、パッキンにゴミがつまったりしますと簡単に浸水してしまいます。

いつまでも防水機能が効いていると思うのは間違いです、注意しましょう。

ガラスに曇りや水滴を発見したら即時対処する事が重要です。入る量にもよりますが、数日放置すると機械にサビが発生しますので、修理費用は膨らんできます。

定期的なクリーニングと、ゴムパッキンへの注油が浸水防止には不可欠です。

磁石が及ぼす影響

機械式時計の場合、急に1分ほどの進みになる事があった場合、帯磁した可能性があります。磁石を使用した製品や家電製品に密着する事が原因です。

クォーツ時計の場合、動いているけれど、ふと見ると何分、場合によっては何時間も遅れている場合、磁石の影響を受けている可能性があります。

ほんの数センチ離れているだけでも影響度はかなり低くなります。磁石だけではなく、事務机などの鉄板も強く磁化しているものがありますので、100円ショップなどで売られている方位磁針を使用して怪しいものを見つけましょう。

金属も疲労します

ゼンマイに代表される伸縮を繰り返す部品において、材料の弱い部分に亀裂が生じ、その後の繰り返し応力によって亀裂が徐々に進行、、、、

最終的にに瞬間的な破壊に至ります。

お見積りの際にゼンマイを目視しますが、まったく問題無いように見えて1ヶ月後に切れてしまうような事がありますが、これは金属疲労によるものです。切れる直前にならないと変化が現れませんので厄介です。

切れると、モデルにもよりますが全分解が必要になりますので、その段階で再度オーバーホールが必要になります。

切れた瞬間の衝撃により他の部品が破損することもあります。

ゼンマイは時間の経過によって金属疲労が蓄積しますので、メンテナンスごとに消耗部品として交換が必要です。

見えない汚れ

押してもなかなか戻って来ないプッシュボタン。原因は、びっしりと付着した汚れ。キャップ内部は空洞になっていて、水がたまります。

砂ぼこりなども中に入り込みますので、水分とミックスしてセメントのようになってしまうことも。。。

ここまで汚れたらちゃんと動きません。

ボタンの根本に付着した汚れは定期的に清掃しましょう。乾いた歯ブラシで根本をブラッシングすると金属の腐食防止に役立ちます。

簡単に浸水しますので、クリーニングには水を使わないで下さい。

リューズの根本も同じです。

原因は衝撃です

自動巻きの時計（動画はオメガ・シーマスター）で急にものすごくに進むようになった場合、その原因の多くがヒゲゼンマイの絡みつきです。

原因は衝撃ですので、優しく扱ってください。

左側が衝撃によって絡みついたヒゲゼンマイ、右側は正常なヒゲゼンマイです。

振り子が十分に回転せず、歯車をたくさん送ってしまっています。

この結果、時間が異常に進むようになります。

1時間で10分や20分、1日で数時間の狂いが生じたらヒゲゼンマイの絡みつきが疑われます。

球技など、振動の激しいスポーツや腕にかかる衝撃は機械式時計の破損要因となります。スポーツの際はデジタル時計の使用をお勧めします。